下肢静脈瘤

足の静脈が浮き出てくる
下肢静脈瘤

足の静脈が浮き出てくる下肢静脈瘤下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)とは、脚の静脈が「コブ(瘤)」のようにふくらんでしまう、良性の疾患です。静脈内にある血液は心臓へ戻るために、重力に逆らって流れる必要があります。健康な状態だと、「ふくらはぎの筋肉」が収縮して静脈内にある血液を心臓へ向かわせ、「静脈弁」が下へ逆流しないよう支えています。
しかし、何らかの理由で、筋肉のポンプ作用が落ちたり、静脈弁の機能が落ちたりすると、静脈内に血液が滞り、静脈の壁にかかる圧力(静脈圧)が上昇してしまいます。静脈の壁はそこまで丈夫ではないため、伸びたり曲がったり、膨れたりすると静脈瘤ができてしまいます。

下肢静脈瘤は生死に関わる疾患ではないですが、足のむくみや倦怠感、脚がつるなどの症状が慢性的に続くため、QOL(生活の質)の低下を招いてしまいます。また、さらに進行すると湿疹や皮膚炎、潰瘍などができるため、速やかに適切な治療を受ける必要があります。

下肢静脈瘤の症状

下肢静脈瘤の症状

  • 足の血管が浮き出ている
  • 夕方になると足がむくむ
  • 足がだるい、重く感じる
  • 睡眠中によく足をつる
  • 足がムズムズする、かゆい
  • 足の肌が黒ずんでいる
  • 足が熱く感じる
  • 階段の昇降がきつい、正座ができなくなった

上記の症状でお悩みでしたら、下肢静脈瘤の可能性があります。一度、ご自身の足の調子を確認してみましょう。
下肢静脈瘤の症状の多くはふくらはぎに起き、午後~夕方の時間帯に症状が現れる傾向が強いです。

下肢のむくみセルフチェック

「足のむくみ」は、下肢静脈瘤になるとよく現れる症状の一つです。
むくみとは皮下脂肪に、身体にとって不要な水分がたまった状態をいいます。

浮腫みの有無は、すねの骨の上を指で5秒ほど強く押してみることで判断できます。押したところが凹んだまま戻らない場合、むくんでいることが分かります。また、靴下の跡が残ったり、夕方にブーツが脱ぎにくくなったりしている場合、足がむくんでいるサインです。

むくみの原因のほとんどは生活習慣や加齢などですが、中には下肢静脈瘤や他の疾患が原因で起きるケースもあります。特に、むくみが急に現れた場合、起床した時でもむくみがある場合、手・足のむくみが見られる場合は、全身的な疾患が疑われるため、放置せず、速やかに医療機関へ受診しましょう。

下肢静脈瘤の原因

加齢や妊娠・出産、長時間の立ち仕事、運動不足、糖尿病などが原因で、血液の逆流を防ぐ静脈弁の機能に異常が起きることだと言われています。また、ご家族に下肢静脈瘤になったことがある方がいる場合は、そうでない方より下肢静脈瘤になりやすいです。

下肢静脈瘤になりやすい人

  • 立ち仕事を長時間行っている方
  • ご両親・ご兄弟に静脈瘤患者がいる方
  • 妊娠中の方(特に2番目以後の妊娠)、女性、高齢者

上記に当てはまる方は下肢静脈瘤ができやすい傾向があります。また高齢者だけではなく、若い方でも下肢静脈瘤が生じることもあり、特に立ち仕事する方は気を付ける必要があります。

下肢静脈瘤の検査

下肢静脈瘤の検査記入いただいた問診票を確認した後に、お悩みの症状や仕事内容、ライフスタイルなどを丁寧にお聞きしてから、足の症状が下肢静脈瘤によるものなのか、または他の病気によるものなのかなどを判断します。
患部を直接見て、下肢静脈瘤がある場所や進行具合、むくみ、皮膚の変色の有無などを細かく確認します。また、むくみの有無や皮膚の熱さ・硬さ、押した時の痛みの有無も調べる必要があるため、触診も行います。
必要に応じて、超音波検査を実施します。超音波検査では、臓器や血流の情報をリアルタイムで表示することが可能です。そのため、血管系疾患や循環器系疾患、腹部消化器系疾患などの有無を、スピーディーに診断することができます。検査時の痛みはないので、安心して受けられる検査です。

下肢静脈瘤の治療

下肢静脈瘤の治療治療法は症状の度合いや、患者様の希望などに合わせて提案します。
治療法は主に三つあり、「弾性ストッキングの着用」と「運動・マッサージ」「硬化療法(注射による治療)」に分けられます。また、手術が必要な際は、当院と連携している医療機関へご紹介します。

弾性ストッキングの着用

弾性ストッキングを着用すると足に圧力が加わります。その結果、不要な血液が静脈瘤の中に溜まることを防ぎ、血液の流れが下から上へ、本来の流れに戻れます。
着用するだけなのでお手軽に始められる治療法ですが、履いている間しか効能が得られないというデメリットもありますまた静脈瘤は出てきます。また、着用している時にかぶれ・湿疹などが現れた場合は、着用を一旦中止し、当院へご相談ください。

運動やマッサージ

長時間立ち続けることは極力避けて、1時間に1回は休憩をとる、または歩いて身体を動かす習慣を作りましょう。立ちっぱなしはもちろん、長時間座りっぱなしで過ごすのも良くないので、こまめに足首の運動をしたり、台を使って足を高く上げたりする運動を取り入れてみましょう。また、「入浴中に足のマッサージをする」「就寝時に足を高くする」といった方法も有効です

静脈に薬を注射する硬化療法

硬化療法とは、下肢の静脈瘤へ硬化剤を注射し、静脈を固める療法です。硬化された静脈は、半年程度経つと吸収されて消えてしまいます。注射は10分程度で行うことが可能です。
軽度の下肢静脈瘤には有効ですが、ある程度進行した静脈瘤を改善させるのは難しいです。

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